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イメージで覚える電気工事
2006年12月5日 成宏電機 夏梅(ダ)
2013年12月21日 追記
これらは電気工事歴が短い作者がどうやったら早くベテランに近づくことが
出来るかを試行錯誤した上での実務上のイメージです。
玄人電工から見ると身体に染みついているのでしょうが、こういう人もいるのだという
程度で参考にして下さい。
(本資料はあくまで参考程度として扱って下さい。この選定方法により
災害や事故が発生しても弊方は責任は負いかねるので注意して下さい)
暇を見つけて少しずつ更新して行きたいと思っております。
【工事計画 編】
1.ケーブル選定やブレーカ容量検討時の目安
動力機器の場合、電卓で計算せずに下記を目安にして概算します。
1kVA=3A
1kW=4A
※3相3線式200V、力率80%と見なす。
2.電源ケーブルサイズ検討時の目安
こういう場合、「VVケーブル並びに電線管などに絶縁物の最高許容温度が
60℃のIV電線(600Vビニル絶縁電線)などを収める場合」の3本以内と
定義されている許容電流値を基本に考えます。
言うまでも無く単線とより線では値が違います(単位が違うから当たり前!)
単線の場合は径(mm)で表すため、許容電流の値は線形近似することが出来ます。
より線は言うまでもなく面積(sq)なので本当は平方根した値に線形近似
すればいいのですが、電卓も無い現場で平方根出来る人間はそうそういないでしょう。
作者は下記を目安に選定します。
1)単線(一般的なサイズのみ記載)
内線規定によると、3本以下の場合、
単 線径(mm) | 許 容電流(A) |
1.6mm | 19A |
2.0mm | 24A |
2.6mm | 33A |
つまり、単線の場合は、
で大凡許容電流に近似出来ます。
言い換えれば、1mmあたり15Aずつ増え、最終的に5を引くということになります。
2)より線(一般的なサイズのみ記載) ※単線でなく3本以下での数値
内線規定によると、我々電気工事屋がよく扱うサイズを基準にみると、
ス ケアサイズ | 許 容電流(A) |
5.5sq | 34A |
8sq | 42A |
14sq | 61A |
22sq | 80A |
38sq | 113A |
60sq | 152A |
100sq | 208A |
150sq | 276A |
200sq | 328A |
と記されております。
これらを全て丸暗記するのは非現実的です。ましては平方根を取って線形近似するのも
電卓を抱えて作業している訳ではないので現実的ではありません。
そういう場合も自分なりの暗算式を覚えておけば便利です。
作者は、2つに分けて考えます。22sqが境目です。
やや乱暴ですが、筆者は下記を目安にしています。
22sq以下 = スケアサイズを3倍して15を足す。 (sq×3+15)
22sqより上 = スケアサイズを1.5倍して50を足す。(sq×1.5+50)
こうすると低めに概算出来るので選定エラーを起こしにくくなります。
これでも3倍するのがどっちだったか1.5倍するのがどっちだったか判らなくなる
ことがあります。
そういう時はスケアサイズと電流の関係は飽和する傾向にあると認識しておけば
間違いはありません。
(つまりスケアサイズが小さい時は3倍、大きい時は最終的に飽和傾向に
あるのだから1.5倍とイメージで認識しておくことです)
下記がその近似式と許容電流との関係です。概ね近似出来ているでしょう?
いうまでもありませんが、これで許容電流が把握出来た訳ではなく、周囲温度による
影響、ケーブル種類による影響、線ぴ内、配管内に納める場合と条件が付くにつれて、
この許容電流は下がって行きます。
(精度の高い検討が必要な場合は内線規定他、メーカの取説を熟慮して選定して下さい)
とは言え、上記の換算値がベースになっていくと思っておけば良いと言えます
(これの値がMAX値と思っていれば良いです)※1
3)AWGについて
参考までに自分の備忘録の意味も込めてAWGについて下記に示します。
AWGとはAmerica Wire Gaugeの略です。米国で使用されるケーブル内の
導体の太さを表します。AWGの場合、数値が増えると細くなります。
これが混乱の原因です。
数値の根拠は、AWG No.4/0の外形を0.46インチ(11.68mm)、AWG No.36の外形を
0.005インチ(0.127mm)として、それを等比級数として39に分けた数字を
表現しております。
AWG | 4/0 | 3/0 | 2/0 | 1/0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
mm2 | 107.2 | 85.03 | 67.43 | 53.48 | 42.41 | 33.63 | 26.67 | 21.15 | 16.77 | 13.30 | 10.55 | 8.366 | 6.634 | 5.261 |
AWG | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
mm2 | 4.172 | 3.309 | 2.624 | 2.081 | 1.650 | 1.309 | 1.038 | 0.823 | 0.653 | 0.518 | 0.411 | 0.326 | 0.258 | 0.205 |
という関係です。面倒臭いので36までは表してません。興味がある方は
EXCELなんかで計算させてみると良いでしょう。
3.線路抵抗
あまり必要ない知識かもしれませんが、導体抵抗(より線の場合です)は概算で
良ければ下記のように覚えておけば便利です。
DC電源回路で電圧ドロップを検討する時には良く使います。
これに反比例させることによって良い結果がでます。
つまり、8sqの場合、
1(sq)/8(sq)×20(Ω/km)=2.5(Ω/km)
となります。
JISの軟銅の規格(JIS C 3307)によると2.31(Ω/km)
なので大体いい線出ていることになります。
(単線でも10%弱程度抵抗が少なくなる程度です)
4.電線管
電線管は、電線を通すための金属製もしくは合成樹脂製の筒状のパイプです。
ここでは、金属管に焦点を当てて説明します。
一般的に下記3種類のものがあります(JIS C 8305で定義)
・厚鋼電線管(通称:アツコウ)=G管
文字通り肉厚。強いので強度、剛性が求められる箇所に使用される。
・薄鋼電線管(通称:ウスコウ)=C管
厚鋼より薄い。
・ねじなし電線管(通称:イーカン)=E管
両端にネジが切ってない(G管、C管はネジが切ってある)。
薄鋼よりさらに薄いので曲げ加工もしやすいし肉薄な分、通線本数も増やせる。
近年はE管が支配的。それは工事の省力化・経済性も背景にありますが、付属品の
レパートリが豊富になってきたことも要因の一つと言えます。
(時間との勝負の中でネジなんて切ってられない)
紛らわしいことにこれらの電線管はサイズがまちまちで覚えにくい!
昔はインチで呼ばれていたので少なからず覚えやすかったはずですが
今日のSI単位系での呼び方は電工泣かせと言っても過言ではないでしょう。
1)厚鋼電線管の場合:
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2)薄鋼電線管の場合:
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3)ねじなし電線管の場合:
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※1インチ=25.40mm
下記の2パターンなので覚えるしかないですね。
そう考えると今でも現場ではインチ表示する機会が多いのも頷けます(←覚えやすいので)
ちまたが薄鋼・ねじなしがホトンドなので下段を覚えれば概ねOKでしょうか。
16→22→28→36→42→54→70→82→92→104
19→25→31→39→51→63→75
防爆仕様などでは今でも厚鋼を使いますが。
【施工・設計編】
1.ケーブル長さの出し方
あえて紹介するほどのことではありませんが、トグロ巻いているケーブルから
総延長を求める単純な方法は、直径を出して3を掛けた値に巻き数を掛けて
やると求まります。
(言うまでもありませんが誤差が4.5%出てきます)
2.身体を物差しに使う
これもあえて紹介するほどのことではありませんが、皆さん身体を
物差し(定規)にして器用に寸法を測って行きます。
例えば、
・歩数
(これはいうまでもありませんね。作者は少し痛みが走る位が
1mになります)
・手を広げた時の幅。
(作者は手を広げて肩までくる長さが丁度1mになります)
・指を開いた時の長さ
(作者は約15cmになります)
・ゲンコツ高さ
(作者は約10cmになります)
などなど、人によっても色々あるでしょうね。
自分の身体測定をしてみてはいかがでしょうか?
3.ボルトの締め付けトルクについて
ネジ(ボルト)の公式には座部の摩擦を厳密に計算する式もありますが、
覚えるのは時間のムダです。
基本的に下記の式だけでOK。
欲しい軸力(F[N])、締め付けトルク(T[N・m])、ネジ呼び径(d[mm])
T=0.2×d×F
0.2はトルク係数と呼ばれます。トルク係数は本来一定ではなく、
潤滑油の仕様で変わってきます。ただ一般的な装置であれば、スピンドル油や
マシン油、タービン油、シリンダ油等の一般機械用油脂なので
0.2と覚えておけばOKです。
私達はこの式を逆から使います。Tはボルトのサイズで決まってきます。
ブラケットや機器を固定するボルトサイズを選定する際に、固定に必要な
力(いわゆるボルトに求める軸力)に裕度を掛けた値から、必要なボルト径と
本数を選定します。
参考までに標準の締め付けトルクを紹介します。これは基準T系(材質SS、SC、SUS)で
産業装置一様に適用出来ます。
ネジの呼び径 | 締め付けトルク[N・m] |
こんな数字覚えてられないというアナタ。
いえ、私もそうです。その時は、得意の近似式です。
締め付けトルク=0.025×ボルト径 3
0.025というのは覚え憎いかもしれません。
私は設計者ですので0.02で覚えています。つまり必要な軸力から
低い数字であれば裕度になるので使い勝手が良いからです。
実際に装置を組み立てる立場の方には0.02で1.25倍しろと
指示します。
4.板材とタップの関係
良くお見かけする板材の板厚は大抵1.6〜3.2と行ったところでしょうか?
言うまでもなく、薄ければ薄い程大きなネジ(ボルト)を使うことが出来なくなります。
タップを切ってもズルっと抜けてしまったら意味ありません。
一般的にはネジが2山半以上掛かるようにしてやります。
下表を目安にすると良いです。
M×P | |||
板厚が足りない場合は、諦めて裏ナット溶接としましょう。
※1…電線種によって上がる場合もあります。(例えば珪素ゴム絶縁ガラス編組電線など)
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